放映当時「ライブ感覚」で作られた「エヴァ」の新作を庵野監督はどう作るのか?: 序破急

TVシリーズはきわめて「ライブ感覚」だったという『エヴァ』の再現は可能なのだろうか

大袈裟なタイトルです。

月刊ニュータイプ 今月号の次回予告に「新世紀エヴァンゲリオンに関するスクープ記事掲載」と書かれていたそうなので、庵野監督の新作は「エヴァ」でほぼ確定のようですね。

まだまだ動きがあるかも知れませんので、目が離せない状況なのには変わりありません。

このような話題ばかりで恐縮ですが。庵野監督の新作が「エヴァ」であるという仮定のもと、思ったことを過去の発言の引用を交えつつ、少し書いてみます。

社会現象とまで言われ、現在のところアニメ界最後の大ヒット作とも言える「エヴァ」。新作を作る場合、その再現は可能なのだろうか。TV放映終了直後の庵野氏と宮村優子氏の対談で、庵野氏は「エヴァ」の制作はライブ感覚だった、と言及している。

「あるシーンをつくりたくてやったのに、ハッと気がついたら、そのシーンごと要らなくなってる。一番やりたかったことが、なくていいものだったとか……。ライブ感覚。その時のその状況に合わせて全部つくっている。」

(アニメージュ1996年7月号より)

また、副監督を務めた摩砂雪氏は、月刊ニュータイプのエヴァ10周年記念冊子のインタビューで以下のように語った。

「それに即興のようなライブ感を出すにはあの複合的な要因ありきで生まれたようなもので、たとえ同じメンバーでも再現は不可能だと思いますよ。」

(月刊ニュータイプ2006年3月号付録「新世紀エヴァンゲリオン DECADE」より)

最高の演奏をした音楽グループが、10年後に同じメンバー、同じ楽器、同じ場所で演奏をしたとしても、以前と同じ演奏をすることはできないのと同じで、ライブである「新世紀エヴァンゲリオン」という作品の再現は不可能なのだ。つまり、庵野氏が「エヴァ」の続編を作る場合、鶴巻和哉氏が「トップをねらえ2!」でとった方法論と同じく、前作とは少し方向性を変えて勝負するしかない。そういった意味で、「トップ2!」は成功した例ではないかと思う。

作品の根幹となるテーマのようなものは継承するべきだが、第一印象として目に映る表面的なものは変えないと、単なる「焼き直し」に見えてしまう。視聴者に「またか」と思われてしまえば前作との比較を余儀なくされ、その結果、前作に劣るという評価がされてしまうのではないだろうか。

以下、蛇足。月刊ニュータイプ20周年記念で行われたインタビューの締めで、庵野氏は以下のようなことを言った。

「創刊号と20周年の表紙が“ガンダム”で、10周年が『エヴァ』ということは、30周年の表紙はきっと『エヴァ』ですね。予約しておいてください」

(ニュータイプ2005年5月号より)

特に何かの意図があって、この冗談を言ったわけではないだろうが、案外本当のことになってしまうかも知れない。

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