表彰式のイベントレポート、配布されたパンフレットに掲載された庵野秀明のコメントについて

「東京国際アニメフェア2008」にて開催された、第7回「東京アニメアワード表彰式」・第4回「功労賞顕彰式」に行ってきた。表彰式に行っただけで「東京国際アニメフェア」には入場していない。
式典会場は東京ビッグサイト会議棟1階のレセプションホール。開場は13時で、私は12時50分ごろに到着。予定の13時50分より少々遅れ、14時ごろに開式。まずは一般公募作品の表彰、次に商業作品のノミネート作品の表彰が行われた。
個人部門の監督賞は、映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の庵野氏が受賞。もしかしたらと、ほんの僅かな希望を抱いてはいたが、予想通り庵野氏は欠席、代理としてプロデューサーの大月俊倫氏が出席していた。大月氏のコメントによると、庵野氏は『ヱヴァ新劇場版:破』の制作で忙しいそうだ。
会場でもらったパンフレットに受賞者のコメントが掲載されていた。さすがにこういったところには、建前上ちょっとしたコメントを寄せるだろうと思っていたが、甘かったようだ。庵野氏のコメントはたったひとこと
ありがとうございました。
「東京アニメアワード」パンフレット 受賞者コメント より
だけ。読んでいて、思わず吹き出しそうになってしまった。さすがは庵野秀明! 当然のことながら他の受賞者は、制作時の苦労や今後の抱負などを語っているため、庵野氏だけ妙に浮いていて、異彩を放っている。かつて『新世紀エヴァンゲリオン』が、96~98年の3年連続で月刊アニメージュの「アニメグランプリ」を受賞した際に寄せられたコメントも、同じようなひとことだったのを思い出す。
『ヱヴァ』四部作完結まで『ヱヴァ』関連の発言やイベント出演はしないという姿勢は、今回も貫かれている。それに、「まだ『ヱヴァ』は始まったばかりで、評価は四部作を最後まで観てからにして欲しい」とでも言わんばかりの、受賞に対する違和感の表明やちょっとした抵抗にも見えるところが実に庵野秀明らしく、非常に面白い!
掲載された写真も数年前のもの。新たに撮らせるつもりはないのか(笑)、あるいはそんな時間もないのか。“Be My Last”Blogに掲載されたものと同じで、他にもどこかで使われていた覚えがあるが、どこだっけ。
「アニメーション オブ ザ イヤー」受賞は映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』。こちらも総監督の庵野氏ではなく、大月氏が代理として受け取った。
パンフレットにも見開き1ページを使って作品紹介、大月氏のコメントが掲載されていた。
賞状とトロフィーの授与は「東京国際アニメフェア」実行委員会 委員長の石原慎太郎氏が行った。大月氏と石原氏のツーショットというのも、先の磯氏と今石氏とはまた違った貴重さがありそうだ。
他のプレゼンターは賞状の文面を読んでから手渡したが、段取りを聞いていないのか、マイクに向かっては何も言わずに、受賞者にさっさと渡して終わってしまった。
授与後の、大月氏のコメントが印象的だった。
本当に歯を食いしばって頑張ったスタッフに最高のご褒美だと思います。
大月俊倫のコメント より
スタッフの頑張りについては、どの作品でもよく言及されることだと思うが、歯を食いしばって
が付くことで特に、『ヱヴァ新劇場版』の現場の過酷さを物語っているような気がする。
ただ、今回の『ヱヴァ新劇場版:序』の「アニメーション オブ ザ イヤー」受賞は時期尚早だと感じる。まだ四部作は始まったばかりで、第1作目の「序」章だ。そして、全く新しい映像だったとも言えるが、逆に極論すれば旧作『新世紀エヴァンゲリオン』のTVシリーズ第1話~6話の“作り直し”に過ぎない、とも言えてしまう。まだ「序 」章ゆえに、今後どういった展開を見せるかも全く分からず、作り直しでもある作品に「アニメーション オブ ザ イヤー」などという最高の賞を与えてしまって、本当に良いのだろうか。作品の質的には全く問題はないと思うが、賞を受ける側も不本意だと思う。それが庵野氏の欠席や、異常なほど短いコメントにも表れている。
細かく見ていけば良い作品もたくさん作られたのかも知れないが、大局を見れば『エヴァンゲリオン』というタイトルを超える作品が、2007年には結果的に作られなかったことになる。『ヱヴァ新劇場版』制作にあたっての所信表明で、庵野氏が言い切った以下に引用した部分を連想せずにはいられない。
しかし、この12年間エヴァより新しいアニメはありませんでした。
本来ならば、ファンとしては好きな作品に栄誉が与えられることを喜ぶべきなのだろうが、ここは少しひねくれたファンになってみようと思う。第2作目『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』では、このような賞が与えられることがありませんように。最終的な評価は、四部作が完結してから。