過去の発言、短編作品のページ数合計と『エヴァ』1~11巻の平均ページ数から発売を予想する
貞本義行さんといえば、キャラクターデザイナーとして著名だけど、元々は少年チャンピオンでマンガ家としてデビューし、数本の短編を描いてからアニメーターに転向したという経歴がある。アニメーターに転向した後も、『Route20 歯車のある街』を月刊ニュータイプに数回連載したのをきっかけに、マンガ家としての活動を再開、『新世紀エヴァンゲリオン』を10年以上連載するかたわら、数本の短編を不定期に発表している。
ただ、『エヴァ』以外の作品は単行本としてまとまっておらず、Comic新現実 vol.5の「まんが家・貞本義行」特集にて再掲載された『DIRTY WORK』、『System of Romance』以外は、初出時の雑誌を入手するしか、読む方法はない。
そんな状態だが、「短編集」発売の予定がない訳ではないようだ。マンガ情報誌「ぱふ」に掲載された貞本さんのインタビューでは、以下のように語られていた。この発言が、今回の記事を書いたきっかけでもある。
――まんが家として今後の予定は?
貞本 以前、『ニュータイプ』で描いた作品が何本かあるんですけど、それを1冊にまとめると言いつつ延びてるので、なんとか作業に入りたいですね。
『ニュータイプ』で描いた作品が何本かある
とは、インタビュー当時は『Route20』と『孤島の鬼』の2作品のことを示していたわけだが、今となっては、角川書店の雑誌に掲載された作品すべてと捉えていいだろう。
上の「短編集」についての発言だが、少年チャンピオンに掲載された初期の4作品については、残念ながら、貞本さん本人の意向により含まれないと思われる。以下は、それについての発言。
――単行本1冊分のボリュームはありますけど(笑)。
単行本にしましょうと言われても断りますね、昔の作品だからという言い訳をつけても絵が稚拙すぎますから(笑)。
掲載の可能性がない少年チャンピオンの初期4作品を除いて、「短編集」に収録されるであろう作品はいくつあるのだろうか。作品名とページ数、初出時の雑誌を一覧表にまとめてみた。
| 作品名 | 回 | サブタイトル | ページ数 | 初出 |
|---|---|---|---|---|
| Route20 歯車のある街 | 1 | スクーターズ | 17 | 月刊ニュータイプ 1991年12月号 |
| 2 | エナジー・ポリス | 15 | 月刊ニュータイプ 1992年1月号 | |
| 3 | エリカ | 15 | 月刊ニュータイプ 1992年2月号 | |
| 4 | 壁 | 8 | 月刊ニュータイプ 1992年3月号 | |
| 5 | 消尽点の彼方へ | 8 | 月刊ニュータイプ 1992年4月号 | |
| 孤島の鬼 | 1 | 上の巻 | 15 | 月刊ニュータイプ 1994年2月号 |
| 2 | 下の巻 | 15 | 月刊ニュータイプ 1994年3月号 | |
| DIRTY WORK | 1 | - | 20 | COMIC CUE Volume4 (1998年) |
| System of Romance | 1 | - | 21 | COMIC CUE Volume8 (2000年) |
| アルカイック スマイル | 1 | - | 32 | コミックチャージ 創刊号 (2007年) |
| 2 | 前編 | 24 | コミックチャージ 11号 (2008年) | |
| 後編 | 28 | コミックチャージ 12号 (2008年) | ||
| 合計ページ数 | 218 | |||
なお、上の表には、どう考えても掲載されないであろう、同人誌に発表された作品は含んでいない。
次に、角川コミックス・エース『新世紀エヴァンゲリオン』の、現在発行されている1~11巻の平均ページ数を出し、上のマンガ作品一覧の合計ページ数と比較。
| 巻数 | 収録話数 | 合計ページ数 |
|---|---|---|
| 1巻 | 6 | 163 |
| 2巻 | 6 | 158 |
| 3巻 | 7 | 160 |
| 4巻 | 7 | 174 |
| 5巻 | 7 | 176 |
| 6巻 | 7 | 174 |
| 7巻 | 8 | 176 |
| 8巻 | 8 | 171 |
| 9巻 | 7 | 166 |
| 10巻 | 7 | 166 |
| 11巻 | 6 | 164 |
| 平均ページ数 | 168 | |
貞本短編作品の合計ページ数は218ページ、『エヴァ』1~11巻の平均ページ数は168ページとなっており、単純に両者を比較してしまうと、短編作品の合計ページ数は、角川コミックス・エースの平均ページ数を超えていることになる。何のひねりもない仮説になってしまうが、このことから、既に「短編集」の為のページ数が揃っていると考えられるのだ。あくまで貞本さんの「短編集」を出すとしたら角川書店であり、角川コミックス・エースとして刊行されるだろう、という憶測に基づく仮説だが。
これまで書いてきたように、貞本さんが「短編集」発売の可能性を示唆しており、ページ数も足りていると考えると、ではなぜなかなか発売されないのか、という疑問が当然のように生まれる。
こればかりは、ただ想像するしかない訳だけど、どこかで企画が頓挫してしまった、あるいは短編作品のうち、ある理由で掲載できない・掲載しづらい作品がある、貞本さんが他の仕事で忙しい、ただ単に出し渋っている、など、いくらでも理由は考えられる。発売時期などは、こんな記事を書いておいてアレだが、全く予想のしようがない。
また、ここ数年、貞本さんは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』に手いっぱいで、きっと発売されないだろうとも思う。「短編集」発売時には、原稿に手が加えられるはずだからだ。貞本さんは気に入らない部分があると何度でも原稿を直すタイプらしく、『エヴァ』1巻の表紙イラスト、3巻ラストの綾波レイの笑顔、『孤島の鬼』の全編細部、イラストの画集掲載時など、修正の事例がある。
今回の記事では、とりあえず中途半端に予想を書いてしまった訳だけど、「短編集」はいずれ必ず発売されるだろうから、ただただ気長に待つしかない、という結論に落ち着かせることになる。予想というより、ファンによる希望か。
(この記事は2007年5月7日に投稿した「そろそろ貞本義行の短編集を出せるはず」をもとに、内容を書き直したもの)