トップ見ずして何を見る!?: 序破急

庵野秀明、貞本義行、山賀博之の発言集、作品に関する資料などを掲載

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『トップをねらえ!』 フィルムコミック2 より

岡田斗司夫×庵野秀明

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3巻が発売予定とあるが、諸般の事情で発売されなかった。

―暮れも押し迫った12月半ば、我々取材班は、岡田、庵野両氏に連絡を取る事に成功。過去~未来へのアニメ界の動きを、厳しい目で評価してもらった……

―まず、現在のビデオアニメ界の状況について、両氏の意見を伺いたいのですが。

岡田(以下・岡)

「3~4年前、オリジナル・アニメビデオ創世記の頃、ファンの人の中には“新しいメディアに参加しているんだ!!”というお祭り的な感覚、意識があったと思うんですよ。そしてビデオソフトを買う事自体が、一つのパスポートの役割を果たしていたわけです。みんな物珍しさもあって、ついついサイフのヒモをゆるめていた。ところがメーカー側はこういった図式が理解できないまま“出せば売れる”みたいな錯覚を起こし、ビデオ事業部や映像事業部を社内に設置してオリジナル・アニメビデオを乱造し始めた。それが2年ほど前の状況ですね。ところがファンの方がメーカーより賢かった。どんどん見る目がシビアになっていった。“この作品作っている奴は、俺よりひょっとしたら頭が悪いんじゃないか?”とファンの方が思うようになったらおしまいですよ。何も考えず、ただ出せばいいや、という作品はどんどんなくなって行き、やがてビデオアニメ界全体の売れ行きも落ちていったわけです」

庵野(以下・庵)

「んー、確かに去年、おととしあたりの状況は最悪でしたね。具体的には……。うーん、まあ、結局は個人の判断しだいなんですけどね」

「見れば判る!(笑)とか」

「まあ昔の特撮物みたいに、怪獣物がイケるとなると、各社がそれに群がる。寄ってたかって喰いつぶしちゃうわけですよね。企画にしてもスタッフにしても、“資源”は有限な物なのに、それに気付いてないのか気付いていてもやっちゃうのか、一気に使い果たしちゃう。ビデオアニメ界も全く同じですよ」

「だからこそ、トップは消費者の事を考えて、まあ、少くとも君が一晩かかってノートに書いたストーリーよりも面白いぞ(笑)と」

「これから出てくるオリジナル・ビデオアニメは逆に安心して見れるんじゃないかと思いますよ。メーカー側も慎重になっていますから、厳選された企画だけが通るようになって来ている。自然淘汰の時期が、そろそろ終って……」

「これからはホニュウ類の時代です!!(笑)」

「恐竜は絶滅しました!(笑)」

「まだホニュウ類は恐竜の卵を盗んで食べてますが、進化はこれからです。(爆笑)」

「とにかくトップは他の作品と差別化をするために、全てに気を使いましたね。スタッフ集めから色指定、脚本、絵コンテは言うに及ばず。力足らず、という所もありますが」

「あちこちで言ってますが、トップは作品でなく商品ですから。とにかく頭を使いまくって作ってます」

「ただ1~3話は純然たる商品として作っていましたが、4話は僕のやりたい事をどんどん入れちゃったから、最初のフォーマットから3分の2ぐらい違っちゃってる。……次の5、6話に関しては、一応これで最後という事なんで、もう本当に好きに作らせてもらいます。商売は多少忘れて(笑)」

「次の5、6話では、ファンの人に対する“楽しい裏切り”が一杯ありますしね。ちょっとまだ言えませんけど、とにかく大抵の人はぶっ飛ぶような仕掛けを用意してますんで。まあ、“6話は○○○○なんです”“ええー!? ここでは書けない許してくれ~~~!!”ってのはどうですか、記事にする時。(爆笑)」

「かなり6話は意表つくでしょうね」

―ではここで、もしも、まだトップを見ていない人がいたら困りますので、一言宣伝文句をお願いしたいんですが。

「あなたが今、1500円持っていたら、『ヴィナス戦記』見るのもいいし『ファイブスター物語』を見るのもいいでしょう。ただ、ビデオソフト買う金があって何か買おうとしているのなら、そりゃトップですよ!!(笑)他に何かいい作品があったら教えてほしい。万一、見てもおもしろくなかったのなら、そんな人はどんな日本のアニメ見てもおもしろくないから、ディズニーとかノルシュテインとか、別の世界の作品を見てて下さいと(笑)」

「トップにないのはカッコいい男の子だけです、あとは大抵入ってますので、見ておいても損はないんじゃないかと思います」

―最後に、今後のアニメ界はどうなるのかという予想、予言をお願いします。

「どうなるのかはともかく、少くとも消費者はアニメ誌を信用しちゃいけませんよ。大きくアニメ誌で取り上げてる作品は、たとえば版権とるのが楽だったり編集者が好きだったりなわけで、決して人気のある作品のわけじゃない。でも、消費者は、それが本当にいい作品と錯覚しちゃいますよ。読者の好みと自分達の好みが大きくズレている事に気付いてないんですね」

「特にアニメ誌で批評文書いている人、子供の感想文みたいな文章はもうやめてほしい」

「アニメ批評家というのは、言ってみればオタクの王様なんです。無料でサンプル借りて来て観てるわけです。そんな人の言う事信じちゃダメですよ。中には自分の批評する作品は、きちんとレーザーディスクで買っている人もいますが、ごくごくごく一部です」

「このページのタイトル、“アニメ評論家にモノ申す”ってしたらどうでしょうかね。まあ、そんな人達に何を言ってもムダでしょうから、せめて読者の皆さんは、信用しないでもらいたいですね……」

――と、意外な方向へと進み始めた対談。この件は、次のフィルムコミック3巻(夏発売予定)で、大きく取り上げてみたいと思う。そして深く考えてみたいと思う。ひとまず幕

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