シト新生 緊急記者会見: 序破急

庵野秀明、貞本義行、山賀博之の発言集、作品に関する資料などを掲載

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キネマ旬報 1997年3月下旬号 NO.1218 より

庵野秀明・角川歴彦

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『春エヴァ』で完結せず、『夏エヴァ』に結末が持ち越しになったことについて。

公開間近! 3・15へカウントダウン。アニメ史上空前の熱狂ピーク!

―『新世紀エヴァンゲリオン/シト新生 DEATH&REBIRTH』製作と公開方法に関して、公開のほぼ1ヶ月前の2月14日、東映本社会議室にて緊急記者会見が開かれた。主な内容は、以下の通りである。

◎昨年11月の製作発表記者会見で発表した『DEATH』編約60分『REBIRTH』編約60分、合計120分という『シト新生』の上映時間を、99分に変更する。

◎『DEATH』編に関しては、TVシリーズの総集編に留まらない、新作映像を30分以上盛り込んだ劇場用新作約72分として製作する。

◎完全新作『REBIRTH』編に関しては、これで『エヴァンゲリオン』をストーリー的に完結させたいという意図で製作作業を進めてきたが、イメージが膨らむにつれ、上映時間や作画枚数など当初の予定を大幅にオーバーしてしまった事などから、春公開のものを『REBIRTH 1』約27分として完結編第1部とみなし、これに約40分以上の新作映像を加えたものを『REBIRTH 2』(仮)約70分として夏に公開し、これを真の完結とする。

◎『REBIRTH 1』では、TVシリーズで投げかけられたさまざまな謎「セカンド・インパクトはなぜ起きたのか?」「使徒の正体は?」「心神喪失状態のアスカは復活するのか?」などに対する答が用意されている。

◎夏の新作たる『REBIRTH 2』(仮)では、エヴァンゲリオン対エヴァンゲリオン、各キャラクターの運命など、人類の未来を決する最後の戦いが描かれる。

◎今回の春興行で未使用の前売券は、夏の興行でも使用できる。

―当日は製作の角川書店代表取締役社長・角川歴彦氏と、総監督の庵野秀明氏が出席した。以下は、その会見時の質疑応答を要約採録したものである。

天使と悪魔、美と醜を超えて ―未来世紀戦争の夢

角川

「今日は本当に突然ですけど、お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。今回こういう異例な形になりましたが、私は製作者として配給の東映の方々、興行の方々、皆様方に、温かい気持ちで見守っていただきたいとお願いしたく思い、このような場を設けさせていただきました。」

庵野

「今回の事件の総責任者である庵野です。当初完結を謳っておきながら、今回の3月15日に関しては、完結しないという、誠にもって申し訳ございません! としかいいようのない事態になってしまいました。しかし、東映さんと角川さんのご厚意によって、夏もう一度チャンスがいただけるという事なので、夏に向けて頑張りたいと思います。地獄が夏まで続く事になってしまいましたが、皆さん、申し訳ございません。」

―当初約60分・60分というお話だったのが、今のお話だと70分・70分になってしまうと。それはどういう風に物語が収まり切れなかったのでしょうか。

角川

「TVバージョンは最後まで語り尽くせなかったんじゃないか、あるいは庵野監督自身の気持ちと観た人たちの間で多少の気持ちのすれ違いがあったのではないか。では新作の『REBIRTH』という形でファンの期待に応えようというのが、今回の映画化の基でしたが、そんな中で庵野監督の構想が広がってきて、実は2時間40分くらいの絵コンテが仕上がってきたんですよ。まだ『DEATH』編についても、従来のTVバージョンの圧縮というだけでは納得できないという監督の気持ちから、30分以上の新作部分が描き込められていました。そこで上映時間が変わってきたという風に、ご理解いただければと思います。」

庵野

「やっぱり作っていると、ただの総集編だとつまらないので、いろいろシャッフルして再構成してみたんですよ。すると結果として70分になってしまったという事と、新作部分に関しては、あのとき(昨年11月の記者会見時)まだ決定稿まで至ってなくて、決定稿になると「あ、こんなに延びてた!」という……。」

―夏で『エヴァンゲリオン』という作品は完結との事ですが、次の新作は。

庵野

「今のところはすいません。もう持ち駒がなくなってしまって、赤玉が出てしまいました。もうしばらくは出来ないんじゃないかと思います。」

角川

「挑む方としては、気持ちの上でもうこれだけの事をやっているので、次の新作など考えられないという気持ちが正直なところだと思いますよ。」

人類の罪は問う…… 使徒的破壊。

―今回春の『REBIRTH 1』が27分で、夏の新作が70分。今回見られる27分というのは、『REBIRTH』全体の大体どのあたりで終わる予定なのでしょうか。

庵野

「およそ半分弱、大変いいところで終わります。ずるいですけど(笑)。」

―夏の新作70分とは、『REBIRTH 1』の後から物語が始まると考えてもよろしいのですか。それともその27分をもう1回、70分の作品用に再構成しながらやっていくのでしょうか。

庵野

「ロールの問題とかいろいろありまして、多分もう一度そこからダブる形になってしまいますね。それはご容赦ください。そちらの方が、観てて気分がいいと思うんですよ。だからそういう形をとらせていただきたいです。」

―これから暑い時期に向かい、体力的精神的にいろいろあると思いますが、その辺の健康管理とか何かございますか。

庵野

「今、実を言いますとこちらの耳がよく聞こえない状態でして。というくらい、全く厳しいですね。」

―現在絵コンテは全て完成されている状態なんですか。

庵野

「ラストだけ、ちょっと保留にしてるんですけど、それは諸々の事情がありまして、とりあえず保留にさせていただいている状態です。」

―春の部分の実際の現場的新作の進行状況を教えていただきたいのですが。

庵野

「まあ、地獄としかいいようがないんですが(笑)。頑張ってます。」

―未使用の前売券は次で使えるとの事ですが、今回で完結すると思って前売を買ったファンの中には、1枚しか買ってない人もいるわけで、そういう人が春と夏両方観ると、結局2倍の料金を払う事になってしまいます。それに関して、ファンにどう償うつもりなのでしょうか。

角川

「そこで今回お話させていただく事で、皆様にご理解をいただきたいと思っているんです。劇場の方々にも非常に大きな迷惑をかけるわけですから。正直申し上げまして、私は場合によってはこの映画を辞退するという風な事まで考えました。しかしながら、『エヴァンゲリオン』には3つの『エヴァンゲリオン』があるという風に思うんですね。まずTVバージョンがあって、そしてこれから皆様に初めて観ていただきたいと思っている映画版『DEATH』&『REBIRTH 1』、そして夏の新作と。で、もし今これを辞退するとなると、庵野監督が新しく30分以上描き上げた『DEATH』が全く未公開のまま葬られるという事になるわけです。それにつきまして、私も脚本を読ませていただきましたが、とてもいい仕上がりなんですね。それがもし辞退という形になってしまうと、本当の『エヴァンゲリオン』のファンにとって、勿体ない事なのではないかと。そういう面で、この春の新作『DEATH』は、きっと観た方は観た方なりの納得ができる、満足感を味わえるものになると思うんです。でも、それでも納得できないという方は、3月の映画を観る前に、時期を待っていただいて、夏の『REBIRTH 2』(仮)を観てもらってはどうかという事から、春の未使用前売券を夏の公開時に使用できるという事にしたわけです。」

―新作のフィルム仕様は。

庵野

「35ビスタです。両方ともそうです。」

―『REBIRTH 1』では、謎はほとんど解明されない状態だと考えてもよろしいのでしょうか。

庵野

「オチは夏までお待ちください。でも謎の部分は(春で)大体わかっていただけるんじゃないかと思います。」

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